ja_JP ja

緑 de つながる通信_メンバー発信、あれこれ♡ 4-2

宮城県気仙沼市西八幡前仮設住宅訪問
「出会ってくれてありがとう」

※写真をクリックすると拡大します

 

活動日時:2012年5月26日(土)
活動場所:宮城県気仙沼市西八幡前住宅

5月26日、宮城県気仙沼市にある「西八幡前仮設住宅」に行きました。
この仮設は、「鹿折小学校の裏にある」聞いていたので、すぐ裏にあるのかな。行けばわかるよね・・・と思っていたら、すぐ裏はJR鹿折唐桑駅から続く線路と、目の前には山の斜面で案内板もなく、右に行けばいいのか、左に行けばいいのか(ナビも迷ってしまう)どちらも一本道なので迷ってもUターンできないかも・・・という、初めて行く人には少し分かりずらい所にありました。たまたま鍬(クワ)を持って作業しているおじさまに聞くことができたので無事たどりつけました。(正解は、線路を渡ったら右→そして1つ目の細道を左折すると仮設が見えてきました。)(写真:畑作り、ちょっと休憩です)

仮設に到着すると、府中支部の方々がもう作業を開始していました。
大きなショベルカーが、コンクリートの地面を深く掘っては横に置き・・・を繰り返しています。府中支部の男性陣が、ショベルカーでは取り除けなかった大きな石や岩を取り除き、雪かきに使うスコップでその穴をもっと深く四角くキレイに掘り進め、もってきた新しい土と、白い袋の中の土を混ぜで、新しい地層(畑になる土にしたい部分)を作って桑で平らにしていきます。
私達も加わって、一緒に掘っては「取り除き → 埋めて→平らにして」、を繰り返していきました。
まだ梅雨にも入っていないのに、もう夏じゃないのか!?とも感じる、
うだるような暑さと、進んでいるはずなのになかなか終わりが見えない
作業。
そんな中、予想していなかったことに用意してきた袋の土が足りなくなっ
てしまいました。(写真:土作り作業、真っ最中です)
「どうしよう・・・私ならすぐに不安とか買いに行かなきゃ・・・」と思
ってしまう所です。
でも、おおらかな大間さんやいつもにっこり笑顔の佐々木さんは少し考えるといつもの笑顔で「・・・じゃあ、現地調達すればいいじゃないか!」と、指示をだして、先日の大雨で曲がってしまって取れかけている駐車場の白いフェンスとゴーヤやキュウリなどの網(よくゴミ捨て場の上にカラスよけにかけている緑の網)で手作りの大きな「土ふるい」を作ってくれました!
「なんにもないなら、そこから“あるもので作れば”いいんだよ」と教えてくれました。
あの時(津波があった時)から、当たり前にあったものがなくなったら・・・あきらめるんじゃなくて知恵と人の力で乗り越えてこられた事を、「今までもそうだったからね」と笑顔で作りながら話してくれました。

完成した土ふるいは、大人2人がかりで息とリズムを合わせてふるいます。
今度は、掘った土を土ふるいにかけてなるべくサラサラにしてのこった石や破片を一輪車で道の端に置く連携プレーです!(写真:野菜の植え付けをする仮設のみなさん)
「土ふるい」なかなか難しいです。土をふるいたいのに、のっかってくる土の重さとそれを体全体を使ってふるわなければならない事。そして2人の息を合わせること・・・、それはまるで、御神輿の重さが肩ではなくて、手と指にかかるようなそんな重さでした。
「これは大変だから、女の子は一輪車で・・・」と自分は汗だくになりながら優しい言葉をかけてくれた弓野さん。
そのうち、皆、それぞれの連携(掘る → ふるう → 一輪車)の息もピッタリあってきて、「はい」「はい」という皆の声と土ふるいの上ではずむシャンシャンとした音がだんだん音楽に聞こえてきました。
真剣にやっていたらお日様もちょうど真上・・・すきっぱらのお腹に「皆、お昼ですよ~!!」と府中支部の女性陣手作りのキムチスープとわかめごはん♪もう最高でした!!

ここの人たちはもともと農家の人が多いから、空いた土地があれば勝手に耕して、畑にして、種を植えているんだよ。だから、お花より畑の方ができたらうれしいねぇ。
今はなかなか部屋からでてこない人とか多いけど、畑があればちょっとは外にでてこれるんじゃないかな?土を触っているってそれだけで気持ちいいしね」と教えて下さいました。
それなら、「お部屋の中に置ける観葉植物は?」と聞いてみたら、「観葉植物?お花なら山へ行けばい くらでも見れるよ」と答えてくれました。(写真:山の斜面、よく見ると白く小さなお花が)
(実は、井出リーダーがここへ来る途中で「いろいろ考えてみたんだけど、緑PJとしてすぐにでもできる事といったら、例えば観葉植物・・・とも思ったんだけど、地域によって考えは様々だから・・・」と考えてくださっていたのでおばあちゃんに聞いてみたのです。)
「山?」と聞くと「ここがもう山だよ。お花もその辺に探せばいっぱいあるよ」と教えてくれたので、さっそくお散歩へ・・・。

仮設を1歩出ると、すぐ前にある山の斜面に流れている小さな川には、大きな岩や木の破片、タイヤ、食器・・・人々の生活で使っていたいろいろなモノが流れてきていました。そんなタイヤの間や、破片の隙間をよく見ると、所々に小さな白い花が生きていました。ふいに、好きな歌のワンフレーズが浮かんできて、口ずさんでしまいました。「辿りつく詩は夕闇に陽を灯し 枯れてなお花は凛と其処に咲く 嵐が訪れ全て薙ぎ倒しても 大切なモノは絶えずここにある」今、目の前に広がっている景色がそのまま歌の歌詞と重なって、白い花の命達は木漏れ日の下で力強く「ここにいるよ」って言っているように、私には優しく光って見えました。

佐々木さんからガリガリ君をいただいて(ごちそうさまです)、たっぷりお昼寝もして・・・午後の作業開始です!今度は女性陣全員と仮設にお住まいのおかあさんも加わって、先ほどの続きです。
また、「掘る → ふるう → なげる」の繰り返しです。
皆の体調とペースを考えて、水分補給をしながら、15分ずつ休んでは作業・・・という形で進めていきます。(写真:漂流物が山の斜面まで
次の難関は、一番最初にショベルカーで掘った土の山でした。その山になった土を連携プレーでなくしていきます。ショベルカーだったので掘ってみるまでわからなかったのですが、驚いたことに、一輪車1個分の大きな岩のような石もでてきました!

皆、腰も肩もきっとバリバリに痛いのに、もくもくと作業と休憩を繰り返します。・・・ですが、皆が休憩の時でも「少しでも早く終わらせよう!」と休憩をあんまりとらないまま頑張ってくれるおかあさん。そんなおかあさんの心を感じて、皆それぞれがどんどん休憩をお茶1杯で切り上げ、また作業に取り掛かっていきます。
こうなったら、後はお日様との勝負です。暗くなる前に終わらせなければ!!
皆、口には出さなかったけれど「今日中に終わらせるぞ!!」って思ってやっていた事が後でわかった時には「一致団結」ってこういう事なんだぁ~☆と、とてもうれしく感じました。

普通だったら3日でやっと終わる作業を1日で終わらせた達成感!
終わった瞬間は本当にうれしくて、「お疲れ様でした」しか言葉になりませんでした。皆、汗まみれで服も土で埃っぽくて・・・でも皆の笑顔が本当に心地よくて。終わった後のジュース1杯は、暑さなんてどこかに飛んで行ってしまったかのようなひと時でした。仮設のおかあさんも本当に何度も何度も頭をさげて喜んでくれました。

西八幡前仮設住宅とも別れ、「これで観洋のお風呂に入ったら最高だよ~」とお話しながら宿へ向かう途中、大きな船の前を通りました。
船の前に大きな台があり、七福神の大黒様がにっこり笑っているのが見えました。(写真:野菜が順調に育つ、その後の菜園)
もう日暮れだというのにお花を持ち手を合わせる方々がいらっしゃって、もしかしたらあのニュースで見た大きな船では?!と頭をよぎりました。
こんな大きなモノが陸の上にあるなんて、通常の生活では(映画のセットとしか思えない。いや、そうであってほしいと思ってしまうくらいの)何かありえない怖さ・・・畏怖を感じました。目を瞑って、夢であってほしい!夢なら覚めてほしい。と思ってしまう景色です。車はゆっくり走り出し、スピードを取り戻します。井出リーダーの説明してくれる声と、車の窓から流れ込んでくる汗ばんだ髪を乱す塩の香りのするこの場所の風を全身に受けながら、残酷で信じたくはないけれど、ちゃんと目をそらさないで見ておかなければならない現実であることを心いっぱいに感じました。

夜、お布団の中に入って思い出すと、いろいろな思いがぐるぐるして、言葉にならない想いが私の中にあるのに、今日話してくれたおばあちゃん、一緒に作業をしてくれたおかあさん、外にでてこられない方々を思うと、「出会ってくれてありがとう」しか浮かびませんでした。

 


(記事:大平 佳世 写真:大平 佳世、井手博之)
この記事のブログ



牡鹿・折浜仮設住宅訪問
| 西八幡前仮設住宅訪問 | 山崎前団地仮設住宅訪問
| 宮城県「きく邑(むら)」の活動

「緑 de つながる通信_メンバー発信、あれこれ♡」トップへ