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緑 de つながる通信_メンバー発信、あれこれ♡1-4

「汎花(ハンナ) 日々雑感」(第4回)

ガーデニングのきっかけ
ボランティア・ガーデナー 松原 咲子

阪神大震災で神戸のマンションが全壊しました。

当時私たち夫婦と末っ子の娘の3人で暮らしていたのですが、ドカンと突き上げるショックで突然起こされ、あたり一面コンクリートの塊や食器のガレキ、飛んできたオーブンなどで足の踏み場もない中を、テーブルの上を這いながらやっとの思いで玄関にたどりつくと、鉄製のドアがゆがんで、ビクともしません。火事場の馬鹿力ってほんとうです。主人が玄関横の洋室の鉄製柵をぶち壊し、窓から脱出したのですが、そこにはジョイントがはずれた廊下が1メートルもの段差となって渡れず、ようやく背中をかがめて階段を降り、半分つぶれたエントランスから脱出しました。

ぼうぜんとしていても、なぜか平静だったことが不思議なのですが、きっと家族が無事だったからと思います。避難所の小学校は遺体安置所となり、山手の大きなお屋敷の1階がつぶれて、門には毛布にくるまれた娘の遺体にとりすがる母親の泣き叫ぶ声がいつまでもいつまでも、あたりに響いていました。

やがて大阪の借家が見つかり、家族で転がり込んだその日に、主人の同僚が「よお生きとってくれたなあ」と涙涙で見舞いに来てくれました。手にはピンクのシクラメンの大鉢が、、、私にとって、馴れない土地でのかわいいお友達になってくれました。

このシクラメンが私のガーデニングのきっかけとなり、再建マンションのベランダへ、市民花壇へと繋がりました。

 

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花便り
(花の栽培、写真:全て筆者)